2010年4月26日月曜日

本音で書く日記

京都から東京に出てきて、9年になる。
一時期、京都という地域から注目される劇作家が世に出て行き、そこを拠点とする俳優にも関心が高まった。
僕は33歳という遅い時期からの俳優としての上京で、かなり不安があったが、それなりの自信もあった。
右も左も分からない芸能の世界に身を投じ、頼れるのは自分を拾ってくれた芸能事務所だった。ところが、頼りにしていた事務所が潰れたりやいろいろあって、踏んだりけったりの日々もあった。
結局のところ、自分の勘や、自分の信念、自分を取り巻く人間関係が全てであって、自分を信じてやって行くしかない世界である。
自分で切り開いていく中に、いろんな人との繋がりができ、自分の方向性と合致したところに現在の事務所、(株)月の石があった。
本当に自分にとってやりたいことのできる事務所である。

だが、率直なところ、舞台、映画、テレビと主役、主演、メインと順調に駆け上ってきて所属に至った経緯もあり、少々自分を過大評価しすぎていて、うぬぼれが強かった面もあった。
実力的には俺の方が増田や神楽坂より上であると。

本日、映画のリハーサルに行ってきた。
リハの内容、また諸々に関しては守秘義務もあるので割愛させていただくが、その後ビデオで増田俊樹の監督、プロデュース作品を二本観た。

一つは増田の監督作で『ハードボイルドファンタジー』
短編であるが、骨太の芯のある作品で、率直驚いた。
低予算でここまでの作品ができるのかと。
また、出演者の演技が皆みずみずしく、良い。
そして、何よりも絵の質感が、本当に私のツボでこれだけで心地良い。

続けて観た『マラニカ』
これは何年か前のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で入選した作品で増田のプロデュース作品である。グランプリに本当に僅差で敗れたいきさつがある。

まず、僕もこの世界に何年も携わっているので、最初の数分を観ただけでその作品がどれだけのものかすぐに分かる。
観た刹那、度肝を抜かれた。
映像美、主演女優の存在感。

何より圧倒的だったのは、増田俊樹の演技力であった。
俺の一番大好きな、「演技と日常の境界線」の上で演技をしている彼に釘付けだった。

正直に言う。脱帽した。
俺は、見くびっていた。
彼のやりたい世界をもろに見せつけられ、またそれが素直に素晴らしかった。

こんな世界を、こんな作品を、こんな演技を、もっともっと世に出していかねばならないし、出していきたい。

真剣に、真摯に、自分の実力などたいした事はない。だから向上したいと思った。

この(株)月の石から素晴らしい作品を作り出したいし、ここから俳優、近藤善揮として真剣に、真摯に上に向かっていきたいと本当に本当に思った。

この『マラニカ』が増田の本当にやっていきたい世界観だと食事を共にしながら聞いて嬉しくなったし、こういった作品は本来もっともっと世に受け入れられる余地があると感じた。


映画はそう簡単に作れるものではないが、そうなにたいした苦労をせずに大作を作ったように見せつけるのが、おしゃれであり、格好良いと僕は思う。

若く映画を志す人間は、そうできるようになる為、もっと苦労すべきである。

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